教育社会学の入門書(その壱)の続きです。
新説 教育社会学
本書の特徴の一つは、教育問題に12章中4章(逸脱・薬物問題・いじめ・暴力)が割かれている点です。薬物問題や暴力を扱う入門書というのは珍しいので、こうしたテーマに興味のある方にはオススメです。
一方で、バランスよくいろいろなテーマを扱っているわけではないので、入門書としては多少使い勝手が悪いかもしれません。
<教育>を社会学する
入門書風ですが、入門書というよりは論文集に近い本です。
ある程度、教育社会学の議論を知っている人向けなので、いきなりこの本から読むのは難しいでしょう。
学会の有名人が執筆しているので、関連するテーマに興味のある方は読んでみるとよいと思います。
改訂版 教育社会学
放送大学出版から出版された入門書です。
改訂版でも1998年の出版なので、だいぶ古い書籍なのですが、わかりやすく、教育社会学の考え方を知るには十分役立ちます。
欠点は、最近のテーマに触れていないことでしょう。事情のわからない初学者には辛いかもしれません。ジェンダーを扱った章がないところにも時代を感じます。
教育社会学への招待
かなり教育学の色彩が強い入門書です。
教師を目指している人には、社会学を全面に押し出した入門書より、こちらのほうがとっつきやすいでしょう。
欠点は、教育学に近いので、社会学とあまりつながりのない章も多いという点です。教職の授業科目のテキストとしては使いやすいのですが、社会学を学ぼうという人には、あまりオススメできません。
教育社会学概論
かなりバランスの良い入門書です。
扱うテーマは、教育制度・カリキュラム・教師・高等教育・学力・ジェンダー・社会階層・就職・社会変動と多岐にわたっており、偏りはあまり見られません。
欠点は、初学者にはやや難しい記述が見られるという点でしょう。とくに、計量分析に関わる章では、パス図が説明なく使用されていたりするため、理解するには、ある程度の統計の知識が必要です。
新しい時代の教育社会学
これもバランスの良い入門書です。
本書の特徴は、教育社会学とはなにか/教育社会学を学ぶことにどのような意義があるのかという、もっとも初学者が知りたいことを丁寧に解説しているという点にあります。
扱っているテーマも、家族・地域社会・メディア・学校・グローバリゼーション・カリキュラム・教育問題・ジェンダー・選抜と排除・学歴・職業への移行など、重要なテーマがほぼ網羅されています。
出版されたのが2012年なので内容も新しく、現時点(2015年1月)では、もっともオススメできる一冊です。